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新サービスや自主調査結果、関連する学問領域のコラムなどを掲載しています。

 皆忙しいのに、それでも時間を調節しあって、集まって会議を開き、話し合いを行うのは、できるだけ的確な集団決定を行いたいという理由に加えて、皆の意見、すなわち民意を反映した決定を導きたいという理由も働いていることが多い。  現実の職場では、どんな判断がはたして正解なのか、確証が持てない状況におかれることが多く、そんな中で行われる集団全体に関わる決定は、結局…

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 前回、第56回「坂道についてまたまた考える」で書き残したことがあるので、やや続きである。もう1年以上前になるが、けがを化膿させ大学病院のお世話になったことがある。その帰りに処方箋で薬を買う必要があった。  とても大きな大学病院なので、その前の道路には複数の処方箋薬局があった。たぶんその道路沿いだけで5軒位あったと思う。その大学病院に通院した最初の日の帰…

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 以前、制約条件のことを述べたが、最近重要な要素であると更に認識したので紹介したい。我々の生活が実は様々な制約条件下で成立しているのが分かる。下の写真を見ても、歩いている人は河川敷の歩道を歩いているが、通常、川の中に入って移動することはない。  つまり、我々は教育によって制約条件を覚えて、生活ができるようになっている。認知科学のラスムッセンのSRKモデ…

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 話し合いは、一人ひとりで考えていたのでは思いつかなかった創造的なアイディアを生み出すのに有効であるという期待は、広く社会に浸透していると思われる。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざが伝承されてきたことからもわかるように、個人よりも集団の方が優れた判断や決定ができるという期待と直感は、暗黙のうちに我々の心の中に宿っているようである。しかし、そうした期…

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 TVゲームの中に有名なエクササイズのソフトがある。CMも盛んに流されていたのでご存知の人も多いだろう。その中にジョギングをするプログラムがある。それは、画面に映る移動していく風景を前にして、単にその場で足踏みをするだけのことである。  画面にはジョギングをするルートがランナーの視点で展開していく。そして走っていくと普通の道だけではなく、トンネルだの橋だ…

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物語を作る  様々な日用製品で、その製品のネーミングに一見、興味を引く物が多く見られる。例えば、「おかんの豆腐」とか。単なる豆腐の機能を売りにネーミングしたものよりもインパクトがある。作り手の願い=コンセプトをネーミングに凝縮することにより、それが物語となり、強いインパクトとなる。練歯磨きでも、理解が困難で、イメージが生まれない「歯周病防止」よりも、「歯…

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 最近よく思うのだが、理系と文系にはそれぞれ典型的な誤りのパターンがあるのではないだろうか。典型的な理系の誤りとは「問題の設定を間違えること」である。つまり、設定された問題に対しては理論的や実務的に正しい答えを出しているのだが、そもそもその設定した問題自体が正しくないということである。とくに、問題の設定において、どこまでを範囲に含めるか、何を範囲に含める…

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 会議における話し合いが極端な結論に向かって、まさに「暴走してしまう」と表現するのにふさわしい現象が見られることがある。社会心理学者のジャニス(Janis, 1972)によって指摘されたグループシンク(groupthink;「集団浅慮」と訳されることも多い)と呼ばれる現象である。彼は、歴史上の深刻な政策決定の失敗事例を分析して、社会的地位が高く、権威ある…

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物語の階層性  今までの物語は、モノを中心に見てきたが、今回はモノにかかわる人、オブジェクトやシステムについて考えたいと思う。まず、商品がユーザに届くまでの流れにある販売、物流、企業に焦点を絞って考える。 (1)販売 商品を販売するときにかかわるサービス提供者がまず考えられる。彼らの製品を説明する内容や態度により、顧客は物語を感じるであろう。例えば、この…

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 前回、第53回「昔はよかったのか(1):客観的にはよくないのでは?」は、高度成長期と現在の治安と衛生の状態を比較し、客観的な環境としては現在のほうがはるかに望ましいのだが、それでも「昔はよかった」と言われることがあるのはなぜなのかという疑問を提出したところまでであった。  現在の「昔はよかった」時期の多くの部分は戦後の高度成長期であろう。高度成長には確…

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 前回、話し合いをすれば、最初はメンバーの意見がそれぞれに異なっても、互いに歩み寄って、個々の判断の平均よりは的確な決定に近づくことが多いと考えて良さそうな実験の結果を紹介した。しかし、いつもそんなに都合良くことが運ぶことばかりではない。話し合ったがために、とんでもない決定がなされてしまう場合があることにも注意が必要だ。  話し合って出された決定が、一人…

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UXと物語  ユーザが製品を使い、良い感覚が生じた場合、良い感情となり、UX(ユーザ体験)として体の中に蓄積される。このUXによる良い感覚は、①非日常性の感覚、②獲得の感覚、③タスク後に得られる感覚、④利便性の感覚、⑤憧れの感覚、⑥五感から得られる感覚などが考えられる。これらの感覚はアンケートにより抽出されたもので、その内容は以下の通りである。  ①非日…

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 海外に行くときに一番気がかりなことは、現地の治安と衛生状態ではないか。犯罪が多いと聞けば、多額の現金を持ち歩かないようにしたり、うかつに裏道に入り込まないようにしようと心がけるだろう。衛生状態が悪いと聞けば、生水を飲まないようにしようとしたり、屋台の食べ物を食べるのはほどほどにしようとするかもしれない。治安も衛生も命にかかわることであるので、つよく意識…

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 会議の多さに辟易としているビジネスパーソンは多いのではないだろうか。私の勤務する大学でも、教員どうしが顔をあわせるたびに、会議に時間を取られることへの愚痴が飛び交うものである。ビジネスシーンのみならず、小学校のクラスルームでも、町内会の寄り合いでも、マンションの理事会でも、我々は生活の様々な局面で話し合いを行っている。なぜ、こんなにも我々は話しあいをす…

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4つの物語  今回はモノ、システムに関する4つの物語について考えてみたい。物語の種類を時間軸から歴史、最新の2つの物語を、空間軸から架空と現実の2つの物語を抽出した。これらの4項目はお互いに独立だけでなく、重層する関係になる場合もある。例を示して考えてみよう。歴史のある物語は、古くから由緒ある旅館、創業100年を越した企業や歴史はそれほど長くなくとも時間…

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 ホモ・エコノミクス(経済人)とは、人間はみずからの効用を最大にするための経済活動を行うという、古典的な経済学(古典主義経済学のことではなく、単にかつての主流の経済学の意味)における人間観である。この効用を最大にするために、人は合理的に経済活動・選択することが、古典的な経済学の前提になっている。  このホモ・エコノミクス的人間観に対しては批判があり、その…

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 前回、夏休み終わりの頃にたまってしまった宿題のように“やるべきことを先送り”したり、ダイエット中なのについショートケーキの誘惑に負けて食べてしまうように“我慢すべきことを我慢できずにやってしまったり”するのは、「双曲割引」の意思決定バイアスが、誰の心にも働いているからであることを説明した。さて、気になるのは、この誰もが経験する心理的罠ともいうべきバイア…

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 前回、前々回では、製品を構成するのが、①有用性(useful),②利便性(usable),③魅力性(desirable)の3側面で、この3側面から物語を分析することができると報告した。  今回はこの論を更に、構造化、精緻化してみた。京都女子大の学生が社会人約60名にアンケートを行い、下記の項目間の関係を線で結んでもらった。 (1)製品やシステムの構成…

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 ここ何年か軒先に朝顔を育てて緑のスクリーンにしている。4月中に種を植えると10月の終わりまでは枯れずに花を咲かせている。その間、縦横3x2mくらいに葉が生い茂っている。 防虫剤の類(たぐい)は使わないのだが、例年たいして虫はつかない。目に付くのはショウリョウバッタが数匹、ときどき小さな羽虫を見かける程度である。しかし、10月になった葉が落ちて、片づけを…

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 夏休みも終わりが近づくと、子どもの頃の宿題との格闘を思い出す。やるべきことはわかっているのだから、計画的に、あるいはさっさと済ませてしまえばよいのに、「まだ夏休みの先は長いさ」と先送りにしているうちに、取り返しのつかない事態に陥ってしまうのである。そして「自分はなんてダメな人間なんだ!!」と自己嫌悪にさいなまれたりしたものだ。しかし、やるべきことを先送…

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