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新サービスや自主調査結果、関連する学問領域のコラムなどを掲載しています。

 最近、生活者インサイトを探索するプロジェクトでよく登場するキーワードに、「(人と)ゆるくつながる」がある。異なるテーマや年代を超えて、複数のケースでみられるのだ。  例えば、女子高校生のこんな事実。  ・・・SNSを通じて、「友達」の数はどんどん増える。時には、自分の意思を飛び越えるスピードで「友達」の輪が広がるため、戸惑うことや神経を使うこともある。…

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 前回、組織を取り巻く環境の変動が、「サイロ化現象」を打破するひとつのきっかけになる可能性について述べた。その環境の変動は外圧と読み替えてもいいだろう。しかし、外圧を待つ受け身の姿勢では、自律的に集合知性を生み出すことは難しいようにも思われる。環境の変化や外圧に類するきっかけを自分たちで生み出すことはできないのだろうか。社会心理学的にこのことを考えてみる…

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 ここ数年、テレビやCMなどでいろいろな人型のロボットが多く取り上げられています。テレビの番組で、楽しそうに会話している場面も放送されたりしています。でも、もし、実際に街中にロボットがいたとして、あなたはどう振る舞うでしょうか?そして、その経験からどういう気付きを得るでしょうか?  私はロボットに興味があって、イベントなどが開催されていると、ちょっと足を…

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 前回、第62回「科学エッセイ」書いたように今回は寺田寅彦の電車の混み具合の変動とすいた電車に乗る方法に関する随筆「電車の混雑について」について紹介しよう。  大正時代にも東京の市内電車(当時は東京都ではなく東京市といった)は満員だったらしいが、やや病弱だった寅彦は満員電車を避け、すいた電車に乗るための方法を見つけていた。それは、すいた電車が来るまで待つ…

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制約条件の強弱  電車やバスに、高齢者や障害者などの優先席があるが、若いサラリーマンがよく座っている。多分疲れているのだろうと思う一方、高齢者が来た場合席を譲るのかと考える時がある。その優先席の表示を見ると高齢者や障害者のイラストが描かれているが(図1)、具体的に行動を誘発させるようなイメージが生じていない。頭では理解しているが、具体的な行動にならないと…

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 前回、メンバーそれぞれが持っている知識や知恵を他のメンバーにも提供し合い、疑問があれば議論して、より的確な知識と知恵に練り上げる仕組みが整っていることが、集合知性が働くための鍵を握っていると指摘した。インターネットの世界を覗けば、むしろ人々が自己の持つ情報や知恵を惜しげもなく提供しあっていることを確認できる。確かにICT(information com…

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 科学者が書くエッセイには伝統がある。たとえばカール セーガンは多くのエッセイ・啓蒙書を書いており、たとえば「コスモス」はテレビにもされ日本を含めて世界中で大きな反響を得ている。また、エッセイというのとはやや違うが、チャールズ ダーウィンの書籍はすべて研究者のための専門書ではなく、一般書として出版されている。  専門書と一般書の違いは文章の平易さ、難解さ…

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 通常、我々が観察する際、単に見るだけではなく、その観察対象物や人間の行動の意味を考え判断する。その際、観察者の持つデータベース(知識)に基づいて、それが持つ意味を考え判断するのである。これは制約条件に基づく判断として考えることもできる。  例えば、シャツの裾を外に出して着こなすタックアウトのファッションをしている男性が以前より増えたと感じている。ファッ…

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 集団で話し合っても、たやすく「三人寄れば文殊の知恵」というわけにはいかず、創造的なアイディアはなかなか生まれにくいものである。また、権威ある専門家たちが話し合って愚かな決定をしてしまう「集団浅慮(groupthink)」と呼ばれる現象が起きてしまうことさえある(これらのことは本コラムの54回、55回で紹介した通りである)。集団で話し合って考えたからとい…

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 少し前のことであるがこんなニュースがあった。JAXA(日本の「宇宙航空研究開発機構」)の観測衛星あけぼのがまもなくその機能を停止するが、これまでの26年間にあけぼのの観測データを用いて書かれた論文が博士論文、修士論文を含めて500以上になる(2015年4月18日付け The Yomiuri Shinbun オンライン版)。あけぼのはオーロラの観測衛星な…

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 制約には以下の種類がある。 ①社会的制約 ②空間的制約 ③時間的制約 ④人間に係る制約(思考、運動) ⑤製品・システムに関わる制約  この5つの関係を図示する。  社会的制約とは、我々が所属している社会が我々に与えている制約である。この社会は階層構造になっていて、家族、所属組織、地域、国などのレベルから地球レベルの社会まで考えることができる。空間的制…

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 会議で情報交換して、意見交換も議論もしたのであれば、参加したみんなは同じ情報を共有しているはずだと、だれもが期待してしまうものだが、そう単純に事態は進まないことを前回は紹介した。人間の情報処理のプロセスには、多種多様なバイアスが働いていて、思いもつかないような結果に結びつくこともあるのである。とはいっても、それならばしょうがないと簡単にあきらめてしまう…

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 前回第59回「まとめると変わるもの(1):合成の誤謬と生態学的誤り」、経済学における合成の誤謬と社会学における「生態学的誤り」の話をした。いずれも、全体と部分の意味や解釈が一致しないという話である。  さて、さらに統計の用語として「シンプソンのパラドックス」というものがある。これは「ある集合・集団における統計的な結果が、その集団・集合を分析した場合の結…

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 製品の形状や仕様は、それに係る様々な制約条件により絞りこまれた結果である。2次元のポスター等も同様に考えることができる。このような制約条件という今まで考慮に入れていなかったフィルターを通してみると、見えなかった世界が見えてくる。  わかり易い例として、電卓(写真1)を考えてみる。人間側に係る制約条件として、以下の項目がある。 ①滑らずに押し易いキー …

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 職場の会議は、職務を円滑に遂行できるように、メンバー全員で同じ情報を共有しておくことを目的とすることも多い。一堂に会し、顔を合わせながら、同じ情報に接するのであるから、参加者全員が、そこで提供された情報を共有することは、ごく自然なことに思われる。居眠りをしたり、スマートフォンの操作に夢中だったりしたのであれば、論外だろうが、話し合いをすれば、参加者間で…

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 経済学の用語に「合成の誤謬」というものがある。誤謬(ごびゅう)というのはあまり見なれない言葉かもしれないが、論理的な間違え(正確に言えば、論理的な誤りがある妥当ではない論証)のことである。  そして、合成の誤謬とは「単独で行われた場合では合理性がある行為が、多くの主体によって行われ「合成されると」、望ましくない効果や結果を生み出すこと」を意味している。…

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 制約条件を用いて、効率よく発想する方法を考える。通常、何かを発想する場合、曖昧な条件の下、色々なアイディアを出すのか良いとされている。そうすると面白いアイディアは多く出せるのだが、面白いだけの場合が多く、役に立たない。この面白いアイディアから更に別のアイディアが生まれることもあろう。しかし、発想する作業は無目的に行われるのではなく、様々な目的のために行…

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 前回、話し合いの手順を操作することで、決定の行方を特定の方向に導くことも可能であることを紹介した。話し合いを行えば、民意を反映した結論を導けるという期待は、必ずしも叶うとは限らないことには注意が必要だ。今回、さらに、手順の操作以外にも、民意とは異なる決定がなされてしまう場合があることについて論じていこう。まずはひとつの事例を紹介したい。  私事で恐縮だ…

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 犯罪不安とは“fear of crime”の訳語である。「“fear”とは恐怖のことなので、本来は犯罪恐怖と訳すべきなのだが、日本では恐怖という言葉を使うにふさわしいほどの犯罪情勢が悪化・社会病理化していないので、それよりも強度の弱い言葉として不安という訳語が定着している」とぼく自身もいろいろなところで説明してきた。  しかし、よく考えると、心理学にお…

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 我々を取り巻く要素として、空間と時間がある。空間は我々に対して物理的な存在として、時間は行為の予定・履歴として、我々にとって大きな制約条件となっている。空間の場合、あるA地点からB地点まで行く途中に池や沼があれば、そこを迂回して行くであろう(図1)。この場合、池や沼が制約条件として、人間の行動に影響を与える。また、横浜駅から東京駅に行くとした場合、どう…

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