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2018年8月21日(火)

構造的にとらえる

第27回 温かいデザイン(3)

 温かいデザインを行うことは、ユーザと心を通わせることでもあるので、表面的なアプローチをするのではなく、本質を考えてデザインすることである。

 なぜ温かい必要があるのか?

 寒い日に温かい水を手にかけると心が和む気分になる。逆に、温かい日に手に冷たい水をかけると爽やかな感じがするが、心が和む気分にはならない。人間関係でも家族などの親しい関係ならば、抱き合うこともあるが(近接性)、そうでない場合は、ある一定の距離を取るのが普通である。これらの距離感は、人間―人間だけでなく、人間―モノ(コト)にも当てはまりそうである。

 人間の身体の近い位置に置かれる、あるいは人間が接触して使われるオブジェクトは温かいデザインのイメージが多い。例えば、木製の箸、陶器の容器、木製の椅子・テーブル、家庭用木製ベッドなど多くある。一方、家電製品のエアコン、TV、冷蔵庫などの人間に対して距離をおいて使われるものは、温かいイメージのモノは少ない。どちらかというとクールなモダンデザインが多く、近接性を拒むイメージがある。人間の身体の近くで使われる機器は触覚などの観点から温かいデザインのイメージが多いが、一方、建築や大型空調機などのサイズの大きなオブジェクトの場合はどうであろうか。人間が直接接する機会は少なく、常にある距離をもって見られるため、温かいデザインよりもモダンデザインが多い。木造の住宅や戦前に建てられた木造のホテルを見ると温かい感じがするが、コンクリート、鉄骨、ガラスでできたモダンデザインは冷たい感じ(冷たいデザイン)がする。JR京都駅烏丸口の外観を見るとダイナミックで素晴らしい造形だと感じるが、その内部は冷たい空間だ。駅構内で必要な人々の出会い、別れを演出する温かいストーリーが無く、様々な理由のためだろうが、効率が支配されている空間と思わざるを得ない(図1)。このためか、ユニバーサルデザインの対応も不十分だと思う。一方、愛媛県内子で宿泊した「HOTELこころ.くら」は蔵を改造し、メゾネットタイプの室内は木を多用してデザインされており、素晴らしい温かい空間(図2、3、4)であった。

 この温かいデザインの萌芽は、様々なところでみられる。温かいデザインは昔からあったが、モダンデザインの反動として捉えることができるだろう。

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