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「行動観察と社会心理学」の記事

 ミス・ユニバースのアメリカ代表が、ベトナムやカンボジアの代表が英語を使えない(聞いたりしゃべったりできない)ことを揶揄する発言をしたと批難を浴びている。どうやらアメリカ代表の真意は、「大会の説明や進行が英語でなされるのに、英語が使えないのはさぞかし不安だろう」という同情にあるようだが、「英語ができないなんて!信じられる?」という発言は、いかにも「英語が…

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 イギリスのEU離脱の実務的な作業の進行が行き詰まっている。国民投票の結果がEU離脱に決した後、それまで離脱推進派のリーダーだった前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏は、次期首相選挙には不出馬を決めた。そして、もう一人の離脱推進派リーダーであったイギリス独立党前党首のナイジェル・ファラージ氏も党首を辞任した。彼らが示した行動は、離脱を現実のものとしていく…

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 巷の議論も少し落ち着いてはきたが、昨今、スポーツ界を中心に、強い立場の人間が弱い立場の人間に対して高圧的で懲罰を伴うような対応を続けて来た問題事案が相次いだ。ことはスポーツ界だけでなく、組織におけるパワーハラスメントに関する報道も相次いでおり、職場でも同様の状況が生じていることは珍しくなさそうである。ただ、職務に従事する中では、自己の職責を全うするため…

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 「働くことの意味」に関する国際比較調査の結果(三隅, 1987)に驚いたことがある。日本や欧米をはじめとして、アジア、中近東を対象とする調査で、大人だけでなく、子どもたちにも様々な角度から働くことの意味を尋ねていた。子どもたちへの質問のひとつに「大人になったらどんな仕事に就きたいか?」という問いがあった。筆者が驚いたのは、中近東のイスラム文化圏の子ども…

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 かつて、ある組織の管理職の方々に、リーダーシップを発揮しようとするときに難しさを感じる問題についてお話をうかがった際に、「部下の中に自分より年長でベテランの人がいて、なかなか言うことを聞いてくれなかったり、『吾(われ)関せず』という態度をとられたりで、やりにくくて仕方がないんです」という思いを吐露してくれた人がいた。その後、様々な組織の管理職の方々と交…

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 前回、上司と部下のすれ違いの原因を、コミュニケーションの取り方に注目して考えてみた。今回は、個人の心理学的特性に着眼点を移して、上司-部下間のすれ違いが起こりやすい原因をさらに考えてみることにしたい。  サッカー日本代表のワールドカップでの活躍に心躍らせた人は多かっただろう。様々な話題を我々に提供して、ワクワクしたり奮い立ったり、また、勝ち抜くための覚…

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 4年に一度のサッカーワールドカップがロシアで開幕した。我らが日本代表も予選を勝ち抜いて出場してくれる。大会直前の監督解任もあり、チームとしてのまとまりや勢いに不安を隠せない状況にあるが、国民全体がサポーターになれる機会を作ってくれた選手たちには、是非とも悔いの残らない戦いを繰り広げて欲しいものだ。  ところで、日本代表の監督を解任した理由について尋ねら…

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 「空気を読む」ことは、社会や組織で生活を円滑に送るうえで大切なスキルのひとつにあげられる。職場はもちろん、友人どうしの集まりでも、「空気を読んで」気の利いた対応ができることは大事だ。それができないと、即座に「空気を読めよ!」とツッコミを入れられることになる。重要だ、必要だと言われる「空気を読む」行為だが、この能力が備わっていることは良いことばかりなのだ…

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 桜の季節を迎え、新年度が始まった。希望を胸に、晴れやかな笑顔の新人たちの初々しい姿に、活気が増している職場も多いことだろう。この季節になると思い出されるのが、先輩たちが「今年の新入社員はどんな特徴があるんだろう」と話をしている光景である。筆者自身も入社2年目以降は、「今年の新入社員はどうなの?」と結構気にしていたものである。  こうした興味や関心は、時…

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 1980年代後半のバブル経済が90年代に入って崩壊した流れは、日本社会に大きな禍根と教訓を残したと言えるだろう。しかし、その後も1999年~2000年の頃には、情報産業を中心とするITバブルと呼ばれる現象が我が国でも起こっている。さらには、2003~2006年の頃のアメリカで、返済する能力が不確かな人々にも安易に資金の貸し付けを行ったサブプライムローン…

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 20年以上も前のことであるが、筆者の住む福岡市内の書店のエスカレーターに、妻と2人で横に並んでおしゃべりしながら乗っていたところ、後方からエスカレーターを歩いて登ってきた男性から「左側に寄って乗ることも知らない人は田舎者ですよ」とたしなめられた経験がある。自分が田舎者であることは十分に自覚しているので即座に詫びて左側に寄り、右側をあけて、その人を通した…

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 ピョンチャン・オリンピックの開幕が近づいてきた。国家ぐるみのドーピングが行われていたことへのペナルティでロシアが国家として選手団を派遣できなくなったり、直前になって北朝鮮の参加が決まって韓国選手団が振り回されたりと、政治的な影響を色濃く反映した大会になりそうなのは本当に残念な気もするが、このオリンピックを目指して、必死に努力を積み上げてきたであろう選手…

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 ビッグデータという言葉はなじみのものになってきた。電車に乗るときにSuicaのようなプリペイドカードによる支払いを利用する人が多くなったことで、そのデータを生かして、通勤時間帯の交通機関の使用について、俯瞰して捉えるとどのような行動がとられているのかを解析することが可能になっている。極めて膨大な数の人間が、思い思いに各自の都合で交通機関を使用しているに…

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 仕事について考えるとき、「失敗=責任を追及されるもの」というフレーミング(とらえ方)になっていることを自覚することは、そこから新しい視点に立って、「失敗=将来のために学び生かすもの」というフレーミングで働くことへの転換、すなわちフレーミング・シフトを起こすときの出発点として大切であることを前回述べた。  しかし、出発したからといって、即座に新しいフレー…

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 前回、職場で仕事をするときに、「失敗=責任を追及されるもの」というフレーミング(とらえ方)で働くことから、「失敗=将来のために学び生かすもの」というフレーミングで働くことへと転換を図ることが、「やらされ感」で働くことからの脱却につながる有効な取り組みであると述べた。さて、こうしたフレーミング・シフト(リフレーミングと呼ばれることも多い)は、どのようにし…

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 前回、「やらされ感」や「指示待ち」の態度から脱却して、前向きに仕事に取り組むには、職場を「作業の場」ではなく「学習の場」として認知するように成員のフレーミングをシフトさせることが重要な鍵を握ることについて紹介した。こうしたフレーミングのシフトは、失敗から学ぶことを大切にして、プロアクティブに仕事に取り組むことの促進につながると考えられるからである。では…

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 組織の中間管理職の方々にお話をうかがう機会があるたびに、「やらされ感」で仕事に取り組んでいる部下が多いと嘆く声をよく耳にする。「指示待ち族」の多さを嘆く声も同様に聞こえてくる。受け身の姿勢で働く人の多さや増加を感じることは、管理職にとっては悩みの種のようである。  「やらされ感」の問題は、組織成員一人ひとりの職務に取り組むモチベーションの低下や精神的ス…

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 今回は、組織において、人々がお互いにとって関連のある考えや感情について気兼ねなく発言できる「心理的安全(psychological safety)」は、どうすれば構築することができるか考えてみたい。ただ、その前に、そもそも心理的安全の構築を必要とする組織はどのくらいあるのだろうか。もしほとんどの組織で心理的安全が十分に確保されているというのであれば、そ…

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 前回まで、互いが自己の利益に執着し、異なる意見や価値観を排除しあってばかりでは、共貧社会を招きかねないことを社会心理学の研究知見に基づいて説明してきた。共存共栄の社会を築いていくためには、異なる意見や考え方の者同士でも、気兼ねなく自分の意見を主張しあえる多様な考え方が許容される環境が必要になる。これは、社会のような大規模なレベルだけでなく、職場や家庭と…

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 前回、前々回と論じてきたように、自国中心主義の行き着くところは共貧社会である可能性が高い。このことは理屈ではわかっていることである。誰もが自分の利益だけを追求して利己的に振る舞えば、世の中は悲惨な状況に陥ることは、理を尽くして説明されるまでもなく、直感的にも推察できるところであろう。それゆえ、個人として行動する時、我々の心には、他者と協力しようとする動…

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