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「観察工学の概念と方法」の記事

 今回も今年6月に出版する「サービスデザイン」の本の中で紹介しているUXの蓄積について考えてみたい。ある刺激を受けてユーザ体験が蓄積してゆき、あるレベルを超えるとその刺激を理解できるという考え方である。交響曲や室内楽などのクラシック音楽を初めて聞くとよく分からないのが普通であろう。筆者は中学生時代からクラシック音楽を聞いてきたが、最初はよく分からなかった…

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 今年6月に出版する「サービスデザイン」の本の中で紹介しているが、UXは機能、ユーザビリティの上に立脚していると考えている。UXはユーザ体験なので、その体験に一番影響を与えるのがユーザビリティと機能である。  そうするとユーザビリティは「人間―機械・システム」や「サービスデザイン(接客面)項目」に係ってくるので、これらの項目の下位項目を抽出すれば、UX…

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 3月になると卒業式や謝恩会があり、主催者、関係者の挨拶を聞き、いろいろ考えることがある。また、同月某デザインコンペの表彰式があり、京都女子大学の学生が優秀賞を受賞したので参加し、関係者の挨拶を聞くと、共感し新たに頷くこともあった。  しかし、欧米で開催された国際会議の懇親会にでると、主催者の挨拶が無く、参加者同士で話をして、飲食する場合が多い。一方、ア…

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 最近、用事で松山市内を走っている路面電車(伊予鉄道)に乗車した。その時、乗客に対する運転者の対応が非常に親切で驚いた。車内放送で安全運転に心がけると宣言し、様々な情報を乗客に伝えていた。車内の運転者名を表示するボード面に、「私は安全運転をいたします」と書かれてあった。バスで同様の表示をしながら、仲間のバスが来ると運転中にもかかわらず片手をあげて合図をし…

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 最近、面白い体験をした。京都にあるCACAO Marketというチョコレートを販売しているお店であるが、チョコレートの販売は1階で行われており、飲食は同じ建物であるが別の地下1階で行われている。地下1階でスイーツを食べることにしたのであるが、1階で店員さんにその旨を言うと、地下室に入るための入口ドアを開けるために必要な暗証番号を書いた紙をもらった。いっ…

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 我々は様々な体験(ユーザ体験:UX)を通じて、感激したり、失望したりしている。21世紀でのモノ作りでは、このUXの考え方が重要視されている。Jay Greene著、Design is how it works,Portfolio,2010という本を研究室の学生と共に読んだのだが、この本にはUXの良い事例が紹介されてある。米国のACE Hotelは、客室…

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 レストランで食事をする際、最初にまず水をくれる。ガラスコップに入った水を飲むわけであるが、その飲むための制約条件があるのに気が付いた。また、この制約条件を与えているレストランのレベルも分かるのである。 ①一番多いスタイルとして、水の入ったガラスコップをテーブルに置いてくれる場合である。水がなくなれば、テーブルの上に水の入ったポットが置かれてあるので、こ…

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 前回、制約条件から様々なお店について考察した。それではアパレルショップのインテリアデザインやレストランの入り口のデザインをどう観察したら良いのだろうか? 前回、制約条件の弱い場合と強い場合に述べたが、観察のポイントは3つある。著者は長年、情報デザインに関して、研究と実践を行ってきたが、画面デザインの可視化の3原則(詳細はUX・画面インタフェースデザイン…

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 制約条件は我々が通常気が付かないところでも見ることができる。レストラン、アパレルショップ、眼鏡ショップなど多数の店舗で、意外と顧客を拒んでいる見えない制約条件がある。それは昔から商売をしている店舗でよく見受けられる。店主が店の奥にいて、足を延ばしてスツールに腰を掛けていたり、店の前で店主が難しい顔をして腕を組んでいては、顧客はなかなか入れない。しかも、…

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制約条件の強弱  電車やバスに、高齢者や障害者などの優先席があるが、若いサラリーマンがよく座っている。多分疲れているのだろうと思う一方、高齢者が来た場合席を譲るのかと考える時がある。その優先席の表示を見ると高齢者や障害者のイラストが描かれているが(図1)、具体的に行動を誘発させるようなイメージが生じていない。頭では理解しているが、具体的な行動にならないと…

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 通常、我々が観察する際、単に見るだけではなく、その観察対象物や人間の行動の意味を考え判断する。その際、観察者の持つデータベース(知識)に基づいて、それが持つ意味を考え判断するのである。これは制約条件に基づく判断として考えることもできる。  例えば、シャツの裾を外に出して着こなすタックアウトのファッションをしている男性が以前より増えたと感じている。ファッ…

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 制約には以下の種類がある。 ①社会的制約 ②空間的制約 ③時間的制約 ④人間に係る制約(思考、運動) ⑤製品・システムに関わる制約  この5つの関係を図示する。  社会的制約とは、我々が所属している社会が我々に与えている制約である。この社会は階層構造になっていて、家族、所属組織、地域、国などのレベルから地球レベルの社会まで考えることができる。空間的制…

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 製品の形状や仕様は、それに係る様々な制約条件により絞りこまれた結果である。2次元のポスター等も同様に考えることができる。このような制約条件という今まで考慮に入れていなかったフィルターを通してみると、見えなかった世界が見えてくる。  わかり易い例として、電卓(写真1)を考えてみる。人間側に係る制約条件として、以下の項目がある。 ①滑らずに押し易いキー …

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 制約条件を用いて、効率よく発想する方法を考える。通常、何かを発想する場合、曖昧な条件の下、色々なアイディアを出すのか良いとされている。そうすると面白いアイディアは多く出せるのだが、面白いだけの場合が多く、役に立たない。この面白いアイディアから更に別のアイディアが生まれることもあろう。しかし、発想する作業は無目的に行われるのではなく、様々な目的のために行…

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 我々を取り巻く要素として、空間と時間がある。空間は我々に対して物理的な存在として、時間は行為の予定・履歴として、我々にとって大きな制約条件となっている。空間の場合、あるA地点からB地点まで行く途中に池や沼があれば、そこを迂回して行くであろう(図1)。この場合、池や沼が制約条件として、人間の行動に影響を与える。また、横浜駅から東京駅に行くとした場合、どう…

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 以前、制約条件のことを述べたが、最近重要な要素であると更に認識したので紹介したい。我々の生活が実は様々な制約条件下で成立しているのが分かる。下の写真を見ても、歩いている人は河川敷の歩道を歩いているが、通常、川の中に入って移動することはない。  つまり、我々は教育によって制約条件を覚えて、生活ができるようになっている。認知科学のラスムッセンのSRKモデ…

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物語を作る  様々な日用製品で、その製品のネーミングに一見、興味を引く物が多く見られる。例えば、「おかんの豆腐」とか。単なる豆腐の機能を売りにネーミングしたものよりもインパクトがある。作り手の願い=コンセプトをネーミングに凝縮することにより、それが物語となり、強いインパクトとなる。練歯磨きでも、理解が困難で、イメージが生まれない「歯周病防止」よりも、「歯…

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物語の階層性  今までの物語は、モノを中心に見てきたが、今回はモノにかかわる人、オブジェクトやシステムについて考えたいと思う。まず、商品がユーザに届くまでの流れにある販売、物流、企業に焦点を絞って考える。 (1)販売 商品を販売するときにかかわるサービス提供者がまず考えられる。彼らの製品を説明する内容や態度により、顧客は物語を感じるであろう。例えば、この…

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UXと物語  ユーザが製品を使い、良い感覚が生じた場合、良い感情となり、UX(ユーザ体験)として体の中に蓄積される。このUXによる良い感覚は、①非日常性の感覚、②獲得の感覚、③タスク後に得られる感覚、④利便性の感覚、⑤憧れの感覚、⑥五感から得られる感覚などが考えられる。これらの感覚はアンケートにより抽出されたもので、その内容は以下の通りである。  ①非日…

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4つの物語  今回はモノ、システムに関する4つの物語について考えてみたい。物語の種類を時間軸から歴史、最新の2つの物語を、空間軸から架空と現実の2つの物語を抽出した。これらの4項目はお互いに独立だけでなく、重層する関係になる場合もある。例を示して考えてみよう。歴史のある物語は、古くから由緒ある旅館、創業100年を越した企業や歴史はそれほど長くなくとも時間…

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