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新サービスや自主調査結果、関連する学問領域のコラムなどを掲載しています。

今回より新企画「深めるサミット」をスタートいたします。本企画では毎回テーマを設定し、その重要性・価値・意味などについて「深める」ために行動観察研究所のメンバーがディスカッションをします。初回のテーマは「インサイト」。行動観察研究所のメンバー6名でディスカッションし、「インサイト」を「より実感のこもった表現であらわしてみる」という試みを行いました。   …

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 ものごとを理解する際、往々にしてその表層の理解に留まる場合が多い。これでは十分把握したことにならないので、構造的に捉えなければならない。製品のユーザビリティ評価を行うとき、製品の問題点をモニターに指摘してもらっているが、これはその製品の表層として現れるユーザビリティの問題点を抽出しているに過ぎない。ワークショップなども同様で、現状のシステム・製品の問題…

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 前回、群集の中では、お互いにどこの誰であるかがわからない匿名性の高い状況が生まれ、それによって、衝動的で感情にまかせた、非合理的な行動をとる傾向が高まる可能性について紹介した。具体的にはどのような行動が起こるのだろうか。こうした傾向を「没個性化(deindividuation)」と名づけた社会心理学者のジンバルドー(Zimbardo, 1969)が行っ…

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 前回(「第71回 社会科学の限界」)、さらには予測が外れた場合のエラーがインフレートすることがあると書いたのだが、それについてもう少し考えてみたい。この理由として、「メカニズムを構成する要素として人間が含まれているからである」と書いたのだが、そこには、多くの人の直観レベルにおけるランダムということに対する誤解があるようである。  ランダムとは無作為とい…

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 今回も今年6月に出版する「サービスデザイン」の本の中で紹介しているUXの蓄積について考えてみたい。ある刺激を受けてユーザ体験が蓄積してゆき、あるレベルを超えるとその刺激を理解できるという考え方である。交響曲や室内楽などのクラシック音楽を初めて聞くとよく分からないのが普通であろう。筆者は中学生時代からクラシック音楽を聞いてきたが、最初はよく分からなかった…

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 ラッシュアワーの駅やバーゲンセールでにぎわうデパートのように、たくさんの人が集まっている群集の中にいると、知らず知らずのうちにある心理的な罠に陥ってしまうことがある。それは、「没個性化」と呼ばれる心理である。段階を追って説明して行こう。  群集の中にいると、そこにいるほとんどの人は、自分のことを「どこの誰なのか」知らないのだと感じて、匿名性が保証されて…

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 心理学が社会科学なのか、それとも自然科学かどうかには議論があるところだが、少なくとも完全な自然科学ではない。特に社会心理学や環境心理学の一部は社会科学といっていいだろう。そうした研究活動に携わる中で、日ごろ感じることがある。自然科学と違い、社会科学における基礎的知見は定説化し、ある種の正しい認識として学者、研究者、あるいはそれを応用する人の間で共有され…

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 今年6月に出版する「サービスデザイン」の本の中で紹介しているが、UXは機能、ユーザビリティの上に立脚していると考えている。UXはユーザ体験なので、その体験に一番影響を与えるのがユーザビリティと機能である。  そうするとユーザビリティは「人間―機械・システム」や「サービスデザイン(接客面)項目」に係ってくるので、これらの項目の下位項目を抽出すれば、UX…

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 強い地震が熊本を襲った。戦国時代から偉容を誇って来た熊本城の石垣が次々に崩れ、雄大な阿蘇の麓をドライブするときに渡ったことのある阿蘇大橋が崩落してしまった映像に、筆者は呆然とし、自然の脅威を改めて思い知らされている。  メディアの報道からわかるように、被災した人々は不安や恐怖、寒さに耐えながら、互いに寄り添い支えあっている。水や炊き出しの食料を求めて長…

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 風土(ふうど)、その場所の自然地理的特徴つまり、気候や地形を示す用語であるが、そうした自然的地理の特徴を反映する、あるいは影響を受けた、その場所における社会習慣や文化などの社会的風土を含むものとしてとらえた概念が、哲学者、和辻哲郎(わつじてつろう)の「風土」の概念である。  実際、風土によって人間の行動は大きく変化する。そして世界各地には現在のわれわれ…

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 3月になると卒業式や謝恩会があり、主催者、関係者の挨拶を聞き、いろいろ考えることがある。また、同月某デザインコンペの表彰式があり、京都女子大学の学生が優秀賞を受賞したので参加し、関係者の挨拶を聞くと、共感し新たに頷くこともあった。  しかし、欧米で開催された国際会議の懇親会にでると、主催者の挨拶が無く、参加者同士で話をして、飲食する場合が多い。一方、ア…

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 人間が他者に攻撃行動を起こす理由として、攻撃の本能が備わっているという「本能論」の視点と、イライラする欲求不満の発散が攻撃となって表れると考える「情動発散説」の視点を紹介した。しかし、もうひとつ重要な視点をおさえておく必要がある。それは、目的を達成するために攻撃が有効な方法だからこそ行うという功利的で戦略的な選択の視点である。  戦国時代の武将たちの戦…

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 経済用語にフリーライドという言葉がある。これは、正当な対価負担を行わずに、便益だけを享受する行為をいう。なぜ負担をしていないのに利用可能な便益が発生しているかといえば、それは他者が負担しているからである。たとえば、費用負担をしていないのに、道路を使うことはフリーライドということになる。また、集合住宅や町内会で清掃が行われているのに、それには参加しないで…

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 最近、用事で松山市内を走っている路面電車(伊予鉄道)に乗車した。その時、乗客に対する運転者の対応が非常に親切で驚いた。車内放送で安全運転に心がけると宣言し、様々な情報を乗客に伝えていた。車内の運転者名を表示するボード面に、「私は安全運転をいたします」と書かれてあった。バスで同様の表示をしながら、仲間のバスが来ると運転中にもかかわらず片手をあげて合図をし…

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 信頼性の高い行動観察を実践していくためには、行動を正確に観察することに加えて、その背後で働いている心理についてもできるだけ正しく推測できることが必要になる。前回は、人助けをしている人の心理過程には、多様で、時に相反する思いが入り交じっている場合さえあることについて述べた。この他にも、表面的に観察できる行動の背後では、複雑な心理が働いていることが多い。 …

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 突然ですが、みなさまは「食事を共にしたわけではない見ず知らずの人の食事代を負担する」ということが起こり得ると思いますか?また、起こるとしたらどんな場合が考えられると思いますか?  何らかの理由で食事代以上のリターンが得られる場合か、それとも、負担しないことで不利益を被る場合か。そういった損得勘定を抜きにして起こった、私の体験をご紹介します。  日曜日の…

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 ゼミでの学生の発表を聞いていて少し驚いたことがある。質問紙調査のデータでは、嫌いな色の上位2つが緑と茶色だそうだ。どちらも自然の色・アースカラーの代表色である。短絡的な反応ではあるが、自然というのはそんなに好かれていないのではないかと思いがよぎった。  第41回 「自然が好きだ」の正体:野生と飼いならされたもの でも一度議論したように、多くの人は自然環…

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 最近、面白い体験をした。京都にあるCACAO Marketというチョコレートを販売しているお店であるが、チョコレートの販売は1階で行われており、飲食は同じ建物であるが別の地下1階で行われている。地下1階でスイーツを食べることにしたのであるが、1階で店員さんにその旨を言うと、地下室に入るための入口ドアを開けるために必要な暗証番号を書いた紙をもらった。いっ…

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 人間行動を丁寧に観察することを積み重ねると、特定の状況のもとで、人間がどのように行動しがちであるのかがわかってくる。ただ、この情報を得ようと思えば、行動観察ほど時間や手間をかけて測定することよりも、ビッグデータの解析を活用することの方がリーズナブルかもしれない。しかし、行動観察の強みの本質は、「どのように」というよりも、人間が「なぜ」そのように行動する…

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 音とは空気の振動であり、その振動を我々は耳で受けて「聴く」ということをしていますが、人には「聴きやすい音」と「聴きにくい音」とがあります。では、「聴きやすい音」とはどのような音なのでしょうか?物理的に音が耳に届き、正確に知覚されやすい、という意味での「聴きやすい音」は、どのような人でも同じであり、「2,000〜4,000Hzの高さの音(我々が「少し高い…

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