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2017年5月23日(火)

観察工学の概念と方法

第82回 構造的にとらえる(12)-モノやシステムの本質を把握する②-

 時計の本質は何であろうか?本質は時刻を表示し、的確にその情報をユーザに伝えることであろう。ファッション性に富んだ腕時計などでは、時刻表示よりむしろ、腕時計全体の豪華さなどの表現が主目的で、その手段として様々な素材を生かして豪華さを演出している。従って、すべて見易ければ良いという訳ではないが、時計の本質は時刻を的確にユーザに伝えることである。特に、鉄道駅のような公的施設での時計の本質は時刻情報を誰にでも分かり易く、認知させることである。

 最近、大阪の地下鉄や私鉄に乗る機会があったので、調べてみた。大阪で見たのがAからDまでの時計である。Eはオランダの鉄道、Fはバルセロナの鉄道である。AからDまでの時計は時刻を示す数字が多く表示されていることと時針と分針の違いが長さである。一方、EとFの時計は、数字の表示が無く、時針と分針の違いが長さと太さである。

 数字に関して、アバウトであるが「文字の高さ=視距離/200」という簡単な式がある。これを使うと10m先の数字が見えるためには50mmの高さの数字が必要となり、時計の表示板が数字だらけになる恐れがある。その為か、EとFの時計は時刻を表す12本の目盛りを大きく取っている。個人的にはEとFの方がスッキリとしているので好きだが、基準時間を示す12時の目盛りに数字の代わりに●などのポイントの表示を追加すると更に分かり易くなると思う。

 時針と分針の違いが長さだけよりは、長さと太さが違っていれば、情報量が多くなりユーザはより分かり易くなる。Xは長さと太さを変えたタイプである。一方、Yは長さのみである。Xの方が見やすいのではないだろうか?

 定量的に評価したい場合はタキストスコープ(tachistoscope)を用いる。これは提示した情報(この場合は、文字盤と針)をどのぐらいの時間で認知したのか、その時間を計測できる機械である。

 ともあれ、デザインや観察をする際、そのモノの本質は何かと構造的に考えていくと、良いデザインや潜在ニーズを把握できる。