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2017年2月27日(月)

観察工学の概念と方法

第79回 構造的にとらえる(9)-潮流を探る-

 世の中の様々な事象・ファッション・システムに影響を与えている潮流を探るにはどうしたらよいだろうか?あるいは潮流など無く、それらの動きは不規則なのだろうか?我々は現在起きている出来事に意味を見出すのが困難であり、時間が経過してその潮流に気が付く。困難というのは、我々は出来事を理解するには、それを見る潮流に基づくフレームが必要となるからである。現在起きている出来事を理解できるフレームはすぐに作られず、事後、作られるからである。この潮流とは、景気が悪い、モノが売れないなどの表面上の出来事ではなく、それらを動かしている大きな流れである。我々の人生を考える際、厳密でないかもしれないが、曖昧な将来の目的や願望を持っているだろう。それらの目的や願望が国民の共通のベクトルになった時、潮流となり、国の政策に影響を与える。しかし、我々の思考は、現在我々を取り囲んでいる様々な制約から脱することはできない。ある時、新しい枠組み(潮流)を提示された時、新しい思考をすることができるのである。科学の世界では、これをパラダイムシフトという。

 そのように考えると様々な事象を観察することにより、得た情報からある程度のベクトル・考え方を抽出できるが、それらは既知の情報であることが多い。勿論、製品開発に役立つデータは多く採取できる。しかし、大きな潮流を探すには困難である。潮流を探すには、現在・過去、国内外の書籍や冊子から様々な知見(仮説)を得ることである。ネット情報は怪しい情報が多いので、書籍の方が確率的に良いだろう。著者は感度の高い人々が多く、様々な潮流(ベクトル・考え方)を示唆しており、非常に参考になる。このような情報から自分なりに構築した仮説のベクトル・考え方に基づいて、社会で起きている現象を解析して、現在の潮流を検討するのである。

 観察とは観察した現象とある基準(フレーム)との差異によって現象を理解することでもあるので、その基準が書籍などから得られた知見(仮説)ということになる。この基準は仮説であるので、観察した事象群との係りや自分の経験他から補正する。

 開発・発想の考え方として、協創という概念がある。潮流というほどの事項ではないが、いろいろな文献で開発者はユーザと協創すべきと提案されている。また、ある研究発表会でも開発には協創が大事だという発言が出て、本当にそうなのかと感じた。協創が本当に必要ならば、過去に起きたイノベーションや成功した開発は協創の結果なのか?従来よりも開発者はユーザの声を聴けというスタンスだと思うが、モノからコトにシフトしている現在、協創というのはモノの開発に対応した考え方ではないかと思う。今後、サービス社会になるので、協創が大事だという考えだろうが、サービスは従来に無い価値を提供することなので、他人を頼りにするのではなく、開発者は自分で創造しなければならない。言ってみれば、小説家や落語家が新しいネタを考える際、ユーザにどんな話が良いですかなどと協創をしないだろう。協創は前提条件として、開発者の自律性、自己努力が求められるのである。

 上記の協創を考える際、これに係る文献を読むと現在の潮流を示唆する様々なアイテムが抽出された。それらを取捨選択し、自分の経験や現実の出来事と照らし合わせ、検討してゆくと協創に関する構造的な見方が抽出されたのである。間違っているかもしれないが、新しい見方ができたと考えている。つまり、観察を行い分析する場合、ベースとして多くの知見が必要で、これらに基づいて観察事象を構造的に考えていくことである。この構造的というのは、構成要素を整理、ウエイト付けをし、それらの関係を明確にして、階層構造にすることである。