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「観察工学の概念と方法」の記事

 昔、企業でデザイン作業を行っていた時、レンダリングという製品の完成予想図を描いた。技術や営業の関係者にプレゼンを行い、デザイン決定を行うためである。プロとして完全なレンダリングを描かなければと思い、詳細に本物のように描いていた。そのほうが詳細に見えて関係者に理解してもらえるという意識があった。ある時、同僚が万年筆でサーと描いて手抜きのレンダリングを描い…

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 我々は通常、1日、3回、朝、昼、晩と食事をするので、お昼頃になると食事のことが気になり、そわそわしだす人がいる。別に、お腹が減っているわけでもないが、行くべしと自動的に行動を起こしているようである。江戸時代は1日2回しか食事をとっていないと昔、本で読んだことがある。健康には3回が良いのであろうが、人によっては回数にこだわらなくても良い場合があるだろう。…

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 以前から気になっていたことであるが、スーパーやコンビニで売られているパックになっているキャベツなどの千切りの商品の水洗の表示である。ある商品は「洗わずそのまま食べられる 千切りキャベツ」と大きく表示されていた。更に、洗わずにそのまま食べられる秘訣をイラストで洗浄工程を示してあった。一方、別の商品では、表面には何も書かれておらず、裏面に小さい文字で、冷水…

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 何か問題点があると、通常行うのが対処療法的な方法である。ある問題点に対して、その解決案を考えてゆくという方法である。先日、ある学会の大会で発表を聞いていたら、対処療法的な方法と思われる内容であった。ある対策の組織を立ち上げるのに必要な要件を決める際、過去に係わった関係者に対するヒアリングデータ、過去のデータベースを基に組織を構築したという内容である。大…

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 時計の本質は何であろうか?本質は時刻を表示し、的確にその情報をユーザに伝えることであろう。ファッション性に富んだ腕時計などでは、時刻表示よりむしろ、腕時計全体の豪華さなどの表現が主目的で、その手段として様々な素材を生かして豪華さを演出している。従って、すべて見易ければ良いという訳ではないが、時計の本質は時刻を的確にユーザに伝えることである。特に、鉄道駅…

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 先日、ある展示会があり、大阪市交通局南港ポートタウン線のある駅で下車した。高架の駅に接続している円筒状の通路を通り、その端から階段で下の道路へ降りるというデザインになっていた。円筒状なので、通ると不思議な感覚が醸成されて、興味深い体験をさせてくれるのだが、たかだか10m程度である。この通路の本質は何かと考えると、通行人を安全に快適に移動させることであろ…

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 アイディアの発想や思考をする際、以下の3つの方法がある。 ①観察したデータや関係する資料を収集して、帰納法的にまとめる方法。 ②ある事象に対し、観察者の持っている知識を基に仮説を推論する方法。 ③我々の生活に影響を与えている地下水脈のような潮流や様々な情報に基づいて、  事象を構造的に捉え、発想、思考する方法。  通常、よく行われている方法は①の方法で…

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 世の中の様々な事象・ファッション・システムに影響を与えている潮流を探るにはどうしたらよいだろうか?あるいは潮流など無く、それらの動きは不規則なのだろうか?我々は現在起きている出来事に意味を見出すのが困難であり、時間が経過してその潮流に気が付く。困難というのは、我々は出来事を理解するには、それを見る潮流に基づくフレームが必要となるからである。現在起きてい…

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 システムやサービスの骨組み(フレームワーク)を構造的視点から構築する方法を述べたい。まず、そのシステムなりサービスの方向を示す必要がある。その方向を定めた後、その構成内容を検討する。 (1)方向を決める  方向を決めるのは、目的、目標を定めることである。当然、目的、目標はそのシステムやサービスを運用する組織の理念の中に包含される。 1)目的  5W1H…

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 今まで構造の見方を述べてきたが、今回はシンプルな法則から構造的に見る見方を紹介する。ユング心理学で著名な河合隼雄先生の著書で紹介されてあった「ふたつよいこと さてないものよ」という法則である。ひとつよいことがあると、ひとつわるいことがあるという内容である。  例えば、学生が教師に叱られるとか、ビジネスマンが上司から叱られるなどという悪いことの裏には良い…

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 あるモノを見るとき、それを取り囲む状況も観察してみる。そうするといろいろな関係にあるのが分かる。例えば、あるモノとあるモノがあるが、お互いに独立した関係にあるとか様々なことが理解できるようになる。このようにして考えると以下の3つに関係を分類することができる。 ①独立関係:無関係の場合と関係のある場合がある。 ②包含関係:複数のモノが同じか、一方が他方に…

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 デザイン思考という体験を基にしたデザイン方法・発想法が米国のIDEOというデザイン会社により紹介された後、我国では雨後の筍のように様々な書籍が出版されている。これはデザイナーならば誰でも自然に使い込んできた手法なので、今更という感覚を持つデザイナーは多いだろう。この手法の良いところは、実際に試作品を作り、体験して新しい発想をすることができることである。…

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 20世紀では、モノ作りで時間軸をあまり考慮に入れていなかったのではと考えている。例えば、建築では、変化を考慮したメタボリズムの運動があったが、完成したときが最高の状況で、その後のメンテナンスは不十分な例を多く見る。木造住宅もそうで、わが国の気候的な制約もあり、古くなれば取り壊していた。しかし、以前、ロンドンのパブに行ったとき、築300年ぐらいの木造の建…

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 前回に引き続き、Temporal Model(時間モデル)について、考察したい。今年、8月中旬に、台湾の某国立機関から講演を頼まれたので台中と台北に行った。台北市内の地下鉄に乗ったとき、ドアの上に細長いデジタルの表示板があり、次に停まる駅名などを表示しているのであるが、現在時刻の表示がされてあった(図1)。これは単に時刻を表示するだけではなく、過去から…

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 前回は身体面でのモデルであったが、頭の中で操作や行為を考える場合は、ユーザの持つメンタルモデルを基準にして操作、行動している。メンタルモデル(Mental model)には構造を考えるStructural Modelと主に手順を考えるFunctional Modelがある。鉄道駅で鉄道の配置を地図上に描いたイラストと各駅の順番を描いたイラストを見ること…

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 ものごとを理解する際、往々にしてその表層の理解に留まる場合が多い。これでは十分把握したことにならないので、構造的に捉えなければならない。製品のユーザビリティ評価を行うとき、製品の問題点をモニターに指摘してもらっているが、これはその製品の表層として現れるユーザビリティの問題点を抽出しているに過ぎない。ワークショップなども同様で、現状のシステム・製品の問題…

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 今回も今年6月に出版する「サービスデザイン」の本の中で紹介しているUXの蓄積について考えてみたい。ある刺激を受けてユーザ体験が蓄積してゆき、あるレベルを超えるとその刺激を理解できるという考え方である。交響曲や室内楽などのクラシック音楽を初めて聞くとよく分からないのが普通であろう。筆者は中学生時代からクラシック音楽を聞いてきたが、最初はよく分からなかった…

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 今年6月に出版する「サービスデザイン」の本の中で紹介しているが、UXは機能、ユーザビリティの上に立脚していると考えている。UXはユーザ体験なので、その体験に一番影響を与えるのがユーザビリティと機能である。  そうするとユーザビリティは「人間―機械・システム」や「サービスデザイン(接客面)項目」に係ってくるので、これらの項目の下位項目を抽出すれば、UX…

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 3月になると卒業式や謝恩会があり、主催者、関係者の挨拶を聞き、いろいろ考えることがある。また、同月某デザインコンペの表彰式があり、京都女子大学の学生が優秀賞を受賞したので参加し、関係者の挨拶を聞くと、共感し新たに頷くこともあった。  しかし、欧米で開催された国際会議の懇親会にでると、主催者の挨拶が無く、参加者同士で話をして、飲食する場合が多い。一方、ア…

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 最近、用事で松山市内を走っている路面電車(伊予鉄道)に乗車した。その時、乗客に対する運転者の対応が非常に親切で驚いた。車内放送で安全運転に心がけると宣言し、様々な情報を乗客に伝えていた。車内の運転者名を表示するボード面に、「私は安全運転をいたします」と書かれてあった。バスで同様の表示をしながら、仲間のバスが来ると運転中にもかかわらず片手をあげて合図をし…

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